Brian Eno 「Taking Tiger Mountain」

Taking Tiger Mountain (By Strategy)

Taking Tiger Mountain (By Strategy)

1974年発表の作品。
TUTAYAでかりたこのCDは紙ジャケット版で、立川芳雄さんによるライナーもこの紙ジャケット化に際して書かれたもの。
そのなかにこんな文章があって、本アルバムについての記述ではないのだが、面白いので引用しておく。

例えば彼の提唱するアンビエント・ミュージックなるものも、ある意味ではきわめてパーソナルなものだ。
(中略)
だからイーノのアンビエント・ミュージックは、かつてパーカッショニストの高田みどり氏が鋭く指摘したように(『キーボード・マガジン』1983年10月号)、現代の一般的な「環境音楽」とは異なっている部分がある。現在の環境音楽は、たとえば”サウンド・デザイン”といったコンセプトを提唱しながら広い空間や都市全体の音環境を快適なものにしていこうとする考え方にもとづいたものが主流になっている。ところがイーノは、自分にとって”環境”とは自分の部屋であり、その窓から見渡せる景色だと言っている。要するに彼にとって音楽とは、きわめて趣味的で個人的なものなのだ。そうしたパーソナルなものを一つのジャンルにまで高めていったところに、イーノという人のアーティストとしての並々ならぬ力量があるのだろう。