銀幕のメモワール

第二次世界大戦時、ナチスドイツ占領下のフランス。
映画俳優シルヴァンと、結核療養所に入所するリザは情熱的な恋に落ちた。
しかし戦争の混乱からシルヴァンは行方不明に。
シルヴァンが主演したフィルムもついに完成されることはなく、お蔵入りとなった。

時は流れて、現在のフランス。
25歳の映画監督サムは、シルヴァンの未完成フィルムを手に入れたことから、シルヴァンのドキュメントの制作に着手。
シルヴァンの身に起きた出来事を聞き出すため、かつて彼の恋人であったリザの居所を突き止める。
リザの口から語られる真実。
それはサム自身のルーツを知るきっかけともなっていく。

年老いた(年老いた、という表現が正しいのかどうかは別として)リザを、ジャンヌ・モローが演じている。
美しく年齢を重ねる、というのはフランス女性の専売特許みたいなものだ。
人生の喜びと悲しみを味わい尽くした美しさ、というのは言い旧されているけれど、確かに彼女たちの美はそうやって磨きあげられたのだと思う。
若い女性がけして持つことのできない、ある種の貫禄と崇高さを、彼女たちは持っている。