のんきな姉さん--追記
『のんきな姉さん』についてもう少しだけ書きたくなったので追記。
そういうの私は本来苦手なんだけど、最後まで見てしまったのは、映像が美しかったからかもしれない。
というふうに書いたのだけど、映像の美しさだけが私をひきつけたのでないことに、今日気がついた。
それは三浦友和演じる課長の台詞がきっかけだった。
大丈夫だよ。同じことは二度と起こらない。
くり返してるような気がするだけで、それは、違うことなんだ。
この台詞がずっとひっかかっていて、それはなぜだろうと考えていた。
姉と弟の、つまり社会的には禁断の(陳腐だなー、この表現)セクシャルな関係を軸に描かれた、夢のようにぐにゃりとした感触のこの映画の中で、この課長の台詞はあまりにも普通すぎて、そして優しすぎて、浮いている。
映画全体を通してある粘着質の強烈な雰囲気の中で、この課長だけがちょっとトボケていて、あたりまえのことを淡々と言ってのけている。
それは凄みすら感じさせる。
私はこれが好きなのだ、たぶん。
強烈なものを提示しながら、その強烈なものに巻き込まれたり引っ張られたりして結末を迎えるのでなく、あたりまえのことにいったんきちんと引き戻している。
そういうものがつくられていることに、私は安心しているのだと思う。
前回は書かなかったが、今日は書こう。
この映画、好きだ!